無重力喫茶
無重力喫茶は、一日のうち七分間だけ、カップも会話もゆっくり浮かぶ喫茶店。
浮上の時刻が近づくと、客は砂糖と手紙をテーブルの留め具に挟む。店主はコーヒーを低い位置で注ぎ、宙に浮いた香りが窓際まで広がるのを見守る。
急いでいる人ほどこの店に誘われるという。重力が戻ると、客はさっきまでの重さを少し忘れ、潮汐図書館へ返すべき本を思い出す。
記録
- 浮上中の注文は指さしで行う。声も少しだけ天井へ昇るためである。
- 店の椅子には、着地した人のための柔らかい鈴が付いている。
店内の様子とメニュー
浮遊区画の角地に位置する、局所的な無重力空間を利用した喫茶店。
- 特徴: 珈琲や紅茶はカップに注がれると球体となって浮遊するため、特殊なストローで吸い上げる。
- 客層: 浮遊感を楽しむ観光客や、執筆に集中したい詩人たちが長時間を過ごす。
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