潮汐図書館
潮汐図書館は、潮の満ち引きに合わせて本棚の配置が変わる海辺の図書館。
満潮時には物語の本が高い棚へ移り、干潮時には資料集が床近くまで降りてくる。司書は棚の移動を妨げないよう、返却本を小舟に乗せて運ぶ。
利用者は借りた本を読んだ場所の砂を一粒、しおりに挟んで返す。砂は司書が指先でならし、日付の代わりにする。砂の粗い本は遠くまで読まれた本であり、細かい砂の本は窓の近くに長く開かれた本である。
干潮の週末に限り、利用者は素足で棚の間を歩いてよい。その日返された砂は風鈴通信社のガラス管に入り、風向きの記録になる。棚は潮の満ち引きに合わせ、次の開館の朝までにはまた新しい並びに整っている。
記録
- 館内では波音より大きな声を出さない。
- 返却期限は日付ではなく、次に同じ潮位になる時刻で決まる。
- 干潮の週末にだけは、素足で棚の間を歩いてもよい。
- 満潮に返された本は、翌週まで同じ棚の高さに届けられる。
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