迷子のための地図帳
迷子のための地図帳は、現在地ではなく、迷っている理由から読める地図帳。
ページを開くと『急ぎすぎている人の角』『帰りたくない午後の橋』といった見出しが現れる。道順は一つに定めず、休める場所や誰かに尋ねる言葉まで併記されている。
地図帳の裏表紙には、迷うことの扱い方がひとつだけ書かれている。『道を探すよりも、自分がいちばん先に安心する方を探せ』。読んだ人がその書きつけにうなずくと、見出しの文字が少しだけ濃くなる。
地図帳の紙は波紋印刷所で刷られ、読む人の手の温度で道の線が濃くなる。使い終えた頁は破らず、次の迷いのために折り目を残す。その折り目は、次の読者にとっての近道でもある。
記録
- 北を示す矢印の代わりに、『少し安心する方』という記号を使う。
- 道に迷っていない人も、知らない場所を歩く前に読める。
- 地図を借りている間、自分のいる場所はほんの少しぼやけてしまう。
- 迷いの理由が変わると、閉じた頁の見出しも新しい名前にかわる。
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