朝焼け蓄音機
朝焼け蓄音機は、朝焼けの色を音に変え、その日の始まりを再生する蓄音機。
針を落とすと、空の赤が低い弦の音に、薄い雲が短い笛の音に変わる。毎朝同じようで違う音を聞くことで、町の人は新しい一日を急がずに迎える。
録音を行う前、蓄音機はしばらく無人の部屋の灯りを消す。すると翌日の朝の色が、前日の続きとして静かに響くようになる。録音盤の裏面には記憶を編む織機の余り糸が貼られ、前日の感触がわずかに混じる。
聞き終えた盤は夕方まで窓際に置いて休ませる。目を覚ました盤は、次の朝の青に合わせて芯を整えた音を出す。天気を確かめるのと同じように、町の人は朝の一回の針を落としてから一日を始める。
記録
- 曇りの朝は無音ではなく、静かな太鼓の音になる。
- 再生は一日一回まで。二度目には昨日の朝が鳴ってしまう。
- ハンドルは回さず、今朝最初に見えた色から音を始める。
- 同じ朝の録音でも、聞く人によって聞こえ方が少しずつ違う。
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