時間の植木鉢
時間の植木鉢は、時間を種として植え、待つことそのものを育てる植木鉢。
植えるのは『来週まで待つ』や『返事を急がない』と決めた瞬間だ。芽が出るまでの間、持ち主は水を与えず、ただ窓辺に置いておく。
待ち方は一人ひとり違う。ある人は朝に一度だけ優しく見て、ある人は一週間目を閉じる。植木鉢はどちらの待ち方も同じ土で受け入れて、急いだ様子を見せない。
育った葉には日付ではなく、待っている間に気づいたことが細い文字で現れる。枯れた葉は波紋印刷所で便せんの縁模様になる。持ち主が待つことをやめた日、植木鉢は白い花を一つだけ咲かせ、その鉢ごと次の持ち主へとまわされる。
記録
- 植木鉢を揺らすと、待つ時間が少し長く感じられる。
- 種は他人からもらうのではなく、自分で決めた時にだけ手に入る。
- 芽の出ていない鉢を耳に当てると、待っているあいだの音がかすかに聞こえる。
- 水を豊富に与えられた植木鉢は、種を落とさないまま急に静かになる。
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