静かな遊園地
静かな遊園地は、歓声の代わりに、乗り物が小さな物語をささやく遊園地。
観覧車は窓から見える家の灯りを数え、メリーゴーラウンドは乗った人の忘れかけた歌をゆっくり繰り返す。音を出せない人も安心して遊べるよう、案内板は絵と光でできている。
回転木馬の飾りには夜明けの鍵屋の鍵くずが混ざり、朝になると少しだけ形を変える。入園券は出口で返さず、次に休みたくなった日に取り出して眺めるためのものである。
夜が更けると、園内の灯りは湖底映画館の上映に送られる。送られた灯りは水の中で淡い作品になり、翌朝にはまた遊園地のベンチへ戻ってくる。音のない園は、訪れた人たちの足音だけがささやきのようになって残る。
記録
- 入園券は出口で返さず、次に休みたくなった日に見返す。
- 一番人気の乗り物は、何もしないまま座るだけの空中ベンチ。
- 雨の日は屋内の物語が増え、観覧車も窓を閉めずに回る。
- 音を出せない人のための案内は、光の強さの違いでも伝わる。
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