雲間写真館の別館
雲間写真館の分室として設立された高地撮影施設。
設立の経緯
雲間写真館は、坂道の途中にある写真館で、「まだ起きていない出来事」の記念写真を撮ってくれる。背景紙は空模様から選び、晴れ、曇り、夕焼け、そして「雨上がりの途中」の四種類がある。
別館は、その分室として高い場所に設立された。低い場所の写真館では空模様を背景紙で選ぶしかないが、高地では実際の雲を背景に写真を撮ることができる。空に近い場所で撮る写真は、現像に時間がかかる代わりに、雲の影まで写り込むとされる。
施設の概要
高地撮影室
別館の最上階にある撮影室。窓は天井まで届き、雲が窓を横切ると、被写体は一瞬だけ光の中に浮かぶ。シャッターを切るのは、その一瞬を待ってからである。
雲待ち室
撮影に適した雲が来るまで待つための部屋。紙飛行機気象台の観測報を頼りに、午後から雲が近づく時間を知らせる。待ち時間は撮影料に含まれ、雲が一日来ない日は、撮影は次の晴れの日に持ち越される。
現像室
別館の現像は、雲の上で過ごした時間を焼き付けるため、通常より長い。できあがった写真は、低地の本館で撮ったものより輪郭が柔らかく、被写体の「まだ起きていない出来事」が少しだけ先へ進んで写る。
撮影の申込み
- 撮影は空模様がはっきりした日に限られる。曇りの日は予約だけが受け付けられる。
- 背景に雲を入れたい場合は、希望の空模様を三つまで伝える。
- 撮影の前に、被写体へひとつだけ質問がある。「その日、あなたはどんな顔で笑っていますか?」
- 受け取りの際には、くじけた日にポケットへ入れるよう注意書きが添えられる。
注意事項
- 写真に写った雲が、撮影後すぐに消えることがある。これは失敗ではなく、その日の雲が役目を終えた印とされる。
- 別館は高い場所にあるため、風見鶏郵便局の郵便が間違って届くことがある。届いた手紙は、持ち主を探すまで別館の棚で保管される。
- 撮影した写真を雲上郵便局で送ると、雲の匂いが封筒に残る。
関連項目
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関連する記録
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