灯台守食堂
灯台守食堂
灯台守食堂は、海のない遠景市で灯台の管理人たちが営む食堂である。店の中央には小さな灯があり、客は料理が来るまでその灯の向きを変えてはならない。灯が向いた方角にいる誰かへ、湯気が先に届くと信じられている。
名物
名物の「折り返しスープ」は、飲み終えた椀の底に次の一口が映る。具材は青階段市場から届く朝の湯気、反転運河の塩、温室の香草である。量を少なく注文する人ほど、ゆっくり帰れるとされる。
灯台守の席
窓際の七席は不在の灯台守のために空けてある。そこへ座りたい客は、先に空席博覧会で「空いていることの理由」を学ぶ必要がある。席が空のまま食事を終える夜、食堂の灯は一度だけ青くなる。
関連項目
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鳴らない時計店鳴らない時計店は、針を持つが音を出さない時計だけを修理する店である。店主は故障を「遅れ」ではなく「誰かを待ちすぎた跡」と呼び、時計を開ける前に依頼人へ最近待ったものを尋ねる。かすみ舟便かすみ舟便は、反転運河を往復する小さな舟の配達便である。運ぶのは箱や手紙だけではない。船頭は岸の会話、濡れた靴音、渡れなかった橋の景色を布袋に入れ、必要な対岸へ届ける。雨音保存会雨音保存会は、遠景市に降る雨の音を採集し、季節ではなく屋根の材質ごとに分類する団体である。会員は小瓶に音を閉じ込めるのではなく、濡れた紙の重さとして記録する。紙を指で弾くと、その日の雨が短く再生される。遠景市アーカイブ_物価遠景市の物価は常設の青階段市場ではルクス建てだが、水曜市や湖畔忘れ物市では価格の代わりに「説明できない品」や「失くした話」が支払いになる。配達料は待たせた時間で決まる。遠景市アーカイブ_北窓劇場の楽屋ノート北窓劇場の楽屋ノートは、上演ごとに書かれる記録である。書かれるのは台詞ではなく、客席から預かった「言わなかった台詞」と、影が座席を離れた時刻だけである。遠景市アーカイブ:雨上がり横丁雨上がり横丁は、雨が上がってから水が引くまでの間だけ現れる横丁である。水溜まりの映り込みを渡っていくと、昼間にはない店が並んでいる。
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