虹色の修理店
虹色の修理店は、壊れた物から色を取り出し、別の道具の継ぎ目に使う修理店。
店主は欠けたカップの青、擦れた本の黄、古い傘の紫を小瓶に集める。直された物は元どおりにはならないが、破損の跡が新しい模様となって、かえって持ち主の顔を引き立たせる。
色の出ない物が持ち込まれた日は、店主はその日の空の色を継ぎ目へ刺す。小瓶に集めた色を使い切ることはなく、余りは便箋の縁や、冬の窓の結露を染めるのにじゅうぶんに使われる。
客は修理を頼むとき、直したい理由を一つだけ話す。聞き終えた店主は色を選び、余った光を雲上郵便局の配達袋へ入れる。店の壁には、色を渡した客の名前の代わりに、手の渦巻きだけがひとつずつ描かれていく。
記録
- 修理料金は『壊れた日を責めない』という約束で支払う。
- 店の看板は毎朝、前日に最も使われた色に塗り替わる。
- 色を取り出したあとの破片からも、次の何かの花の形が静かに生まれる。
- 同じ色を二度使う修理は、店の習慣として引き受けない。
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