星環827年接続会議:尾崎継承機関の七秒間
尾崎継承機関アーカイブが保管する全音源には、星環827年7月1日午前5時ちょうど、同じ七秒間の無音が生じた。媒体、録音年、演奏者を問わない同時欠落だった。
調査
技師は当初、再生装置の故障を疑った。しかし磁気テープには七秒分の物理的な長さが残り、波形も完全なゼロではなかった。増幅すると、複数世界の人々が言いかけてやめた言葉だけが記録されていた。
- 謝罪の前の息継ぎ
- 採決で挙がらなかった手
- アンコールを求めず帰った足音
- 名前を呼ばれるのを待つ沈黙
公開方針
機関内では「欠落を修復すべき」とする技術班と、「沈黙を作品として残すべき」とする記録班が対立した。最終的に原本は変更せず、七秒の前後だけを解説なしで公開することになった。
公開音源は星環827年接続会議_旅路ラジオ最後の定時放送で流され、市民が事件に気づく契機となった。
会議での証言
司書は透明議場で再生ボタンを押し、七秒が終わるまで発言台を空けた。その後、「政府はこの沈黙を予測材料と呼んだ。私たちは、まだ言葉になっていない権利と呼ぶ」と証言した。
この発言は星環827年接続会議_文化主権院の空席演説へ引き継がれた。
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