夕焼け交換所
夕焼け交換所は、一日の終わりに余った時間を、小さな品物と交換できる窓口。
客は『あと十分だけ散歩したかった』のような余り時間を申告し、代わりに温かい石や、翌朝まで続く香りを受け取る。
引き渡された時間は、急いでいる誰かの道に静かにすべり込む。受け取った人は、それがどこから来たのかを知らないけれど、いつもの夕方にはちょうど間に合う。交換所は日没の最後の色が消えると閉まる。
窓口の奥では靴音収集家の瓶が鳴り、どの時間が寂しがっているかを知らせる。時間の砂が尽きた瓶は、翌朝の朝日の中で一度だけ音を立てて、誰かの目覚ましになる。
記録
- 時間の価値は長さでなく、手放すときの納得で決まる。
- 受け取った品には返却期限がない。
- 夕焼けが薄い日は、品物の数ではなく、明日まで続く香りを多く作り出す。
- 手放してよかったと感じた時間だけが、翌朝ほんの少し戻ってくる。
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