薄明圏アーカイブ:潮汐庭師
潮汐庭師は、ネオンプリマの運河、屋上貯水槽、防波堤に生える位相性植物を管理する職業である。植物の繁茂を整えるだけでなく、葉の向きや開花時刻から地域の時間ずれを観測する。
管理する植物
| 植物 | 性質 | 用途 |
|---|---|---|
| 灰青藻 | 空より遅れて色を変える | 食用、運河時計 |
| 鐘苔 | 霧が濃くなると微振動する | 警報補助 |
| 帰帆草 | 最寄りの安定航路へ葉を向ける | 航路観測 |
| 忘れ蔦 | 古い文字だけを覆う | 文書庫の湿度調整 |
| 燐花 | 暗域季に青く発光する | 青燐祭 |
忘れ蔦は資料を消す植物と誤解されるが、実際には新しいインクを避け、一定年数を経た文字の周囲だけに根を張る。書庫では年代判定の目安として利用される。
一日の仕事
庭師は夜明けではなく、薄明圏アーカイブ_時間位相潮汐表の開潮に合わせて作業を始める。灰青運河では庭舟を使い、水草が偶数区画と奇数区画をまたがないよう剪定する。記憶貨物船の航路へ根が伸びると、植物が他人の回想を吸収するためである。
道具
代表的な道具は刃のない「時剪定ばさみ」。枝を切る代わりに、直近一日分の成長だけを巻き戻す。使いすぎると植物が季節を失うため、一本につき月三回までと決められている。
青燐祭との関係
薄明圏アーカイブ_青燐祭の燐花は庭師が一年かけて育てる。祭り後は花を摘まず、自然に消光するまで見守る。翌年の開花は、前年に人々がどれだけ静かに帰宅したかで決まるといわれる。
創作上の役割
潮汐庭師は制度より先に環境の変化へ気付く観測者として描ける。小さな葉の異変から都市規模の位相事故を予見する物語に向く。
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