藤井風世界_帰ろう坂道のすれ違い記録
帰ろう坂道のすれ違い記録は、帰ろう坂道で交わされる挨拶と立ち止まりの記録である。
記録の対象
帰ろう坂道には「途中で必ず立ち止まってしまうポイント」がある。すれ違い記録は、そのポイントを境に、誰が上り、誰が下り、どちらが先に立ち止まったかを記す。会話の内容は記されず、挨拶の有無と向きだけが残る。
立ち止まりの傾向
記録を長期間照合すると、盆と正月の前後に立ち止まる人の数が増えることが知られている。子どもの頃は「ただ急だったから」立ち止まった坂道が、大人になってからは「謝りたいことを思い出す場所」に変わる。
立ち止まった人が最後にどうしたかは記録されない。記録は立ち止まること自体を異常として扱わず、坂道の日常の一部として並べる。
記載の粒度
すれ違い記録には氏名は記されない。「坂の下で花火をする子どもたち」のような、その日見えた風景が添えられることがあるが、それも推測を交えず、見えたままに記される。
関連項目
RELATED ARTICLES
関連する記録
藤井風世界_風のピアノ室の調律記録風のピアノ室の調律記録は、誰も弾いていない時間のピアノがどう鳴っていたかを記す記録である。調律士は鍵盤を触らず、窓から入る風の当たり方だけで作業を進める。藤井風世界_旅路ラジオの深夜帯旅路ラジオの深夜帯は、午前一時からの一時間だけ放送される時間帯である。パーソナリティは名乗らず、届いた「途中の話」を読む。藤井風世界_物価藤井風世界の物価は統一ルクス建てだが、一部の店は「祈り」で受け取る。季節を貸す店の貸料は季節の長さで決まり、風の強い日は値段が上がるという言い伝えがある。交差創作_風のピアノ室に届いた未来の楽譜アカサティアのエルパランド区で研究されていた時空共鳴理論の実験中、偶然にも藤井風世界の風のピアノ室へ楽譜が転送された。未来の楽譜は、まだ作曲されていない旋律を先取りしていた。交差創作_夜間回廊文庫と風のピアノ室風の音楽と余白の文庫の交差。風のピアノ室で見つかった楽譜の余白写しが回廊文庫の挟込棚へ収められる。交差創作_旅路ラジオと教育放送旅路ラジオの電波が、統一世界政府の教育放送網と偶然同じ周波数に乗った夜のこと。二つの放送は混信するどころか、互いの空白を埋め合うようにして一つの番組になった。
この記事のメモ
読書メモを記事ごとに、このブラウザだけへ保存できます。
メモはまだありません。
メモはサーバーへ送信されず、別の端末やブラウザとは同期されません。
カテゴリ: